jet&keykey http://jetkey.exblog.jp/西暦2009年7月22日の皆既日食をバラナシで見るつもりは全く無かった。
それは、2008年8月1日のロシア〜モンゴル〜中国での皆既日食の観測ポイント選びの際に、もっとも重要視した晴天率を考えたところ、雨季であるインドでの観測は、ほぼ不可能に近いと考えていたからだ。
天候条件、そして、観測時間等を総合的に検討すればするほど、日本がベストだと考えていたが、僕ら、ずっこけ夫婦は2007年12月から世界一周の旅へ出発して1年半、中国〜チベット〜ラオス〜ベトナム〜タイ〜マレーシア〜カンボジア、2008年の日食のモンゴル〜パキスタン〜スリランカ〜ネパール〜そしてインドとアジアを旅していたので、旅路の流れの中、同じアジアの空の下で観測したいと漠然と描いていた。
候補地としてはブータン、ネパール、バングラディッシュ、そして今回の日食のスタート地点インドだったのだが、どのエリアも雨季、そして日の入りに近い時間の日食とのことで、山岳地帯であるブータン、ネパール、インドのシッキム、ダージリン近辺は候補地から外れ、消去法で残ったエリアが、インド中央部からバングラディッシュに掛けての平野部だった。
特に、今年の雨季の訪れは、南アジアでは数週間遅く、過去10年間の晴天率のデータは全くあてにならない状況と、日食2週間前にいたネパールでは、午前中に太陽を拝めるチャンスはほとんど皆無といった状況で、僕らはもう、これは「見れたらラッキー」という開き直りで、インドの中での笑っちゃうくらい低い晴天率の中でもかろうじて高いバラナシへ、ちょうど日食から10日前、ロケハンの為にたどり着いた。
ちょうどヒンドゥー暦7月は、ヒンドゥー教徒にとってシヴァの月に当たるということもあり、シヴァ派の聖地であるバラナシは沐浴するヒンドゥー教徒が多く、全身オレンジ色(スワミカラー)に身を包んだ巡礼者が近隣州から集まり、毎月曜日には特に大きなプージャ(祈祷)がガートや寺院で行われ、巡礼者で溢れかえっていた。
それに加え、暑すぎる南インドからも巡礼者が多数バラナシへ集まり、朝夕の沐浴時間のガートは人々で埋まっていた。そんな中、日食のことを訊ねてみても、遠方からきていた巡礼者は特に知らないという感じではあったのだが、うわさでは100万人の巡礼者が集まると言われていた。
僕らのお宿の敬虔なヒンドゥー教徒のおやじさんは、今回の日食について、「バラナシでは123年前に日食があったが、その日食後世界は戦争になった(どの戦争だ?)。だから日食は、不吉なものなんだ。当日は日食の2時間食べず、飲まず、しゃべらず、沐浴して、お祈りして、瞑想し、神とつながることが大事だ。そして貧しい人々に富を分け与えること。そうやって平和を祈るのだ。」と教えてくれた。
日食前日ともなると、インド中を旅しているトラベラー、日本から日食の為に弾丸日程でやってきたハンター達、世界各地からインドに集まってきたヒッピー達も続々と集まり、ガートは異様な盛り上がりを見せ始め、各々どこで観測するか、様々なシチュエーションを描いている。そしてインドのTVでも日食についてヒンドゥー語で放映されていた。
INFASパブリケーションズ刊